2018年07月12日

3Dプリンタを改造する ( Anet A6 改造記 )

 メーカー製だと保証やメーカー修理の問題もあり簡単に改造という訳にも行かないでしょうが、激安キットでは逆に問題があれば自分で対応できる可能性も持っていると言えます...いや、自分でやってねといったところでしょうけど (^^;
 組立時にトラブル続きであった激安中華製3Dプリンタキットですが、その他問題のありそうな部分、問題が発生しそうな部分、かっこ悪いと思った部分に手を入れています。


  • まずはY軸の足固め

 部品に問題があったため、一番最初に手を付けたのがこれ。Y軸モーターサポートです。
タイラップでモーターを仮に固定し無事印刷が終了しました。
サポートの下側が床に接する事でリアパネル全体の接地面積を広げています。

Y-asis_mount.jpg

次はフロントパネルに取り付けるフレームブレース
フロントプレートは左右2本のスレッドロッドで固定され、
リーディングロッドが丸穴に差し込まれている構造ですが、構造的にねじれに弱そうです。
またフロントパネルの接地面積が少ないので、ビルドプレート(ホットベッド)の前後移動による振動の影響を受けやすそうです。
そこで、このフレームブレースで構造強化を行いました。

P1020415.JPG

取り付けるとこんな感じ。
Y軸タイミングベルトのテンショナーも追加してあります。
タイミングベルトの緩みは方向転換した時にバックラッシュの原因となり、加工精度が低下しますので、テンショナー機構は不可欠です。

MYFW5452s.jpg

 ついでにホットベッド下のタイミングベルトを固定する位置が、モーターのプーリーとフロントのテンショナーのプーリーを真っ直ぐに伸ばした位置より上側になっていました。
上になるという事はタイミングベルを引っ張った時に下向きのベクトルが発生し、振動の原因になるという事です。
なるべく下向きにベクトルが発生しないように、ブロック状のパーツを作り、ベルトが水平に引っ張られる位置に固定できるようにしました。

 現在、3Dプリンタの下に防振マットを敷いた事で、けっこう動作音が 静かになりました。
モータードライバも交換すればもっと静かになるのでしょうけど、使用されているコントロール基板のドライバICは半田付けで交換できないのが残念。(ヒートガンを使って出来なくはないが...)

 この他、ホットベッドが3mmの皿ねじでスプリングを挟み、蝶ねじでホットベッド固定金具の下から止める方法を取っています。本来なら4mmのねじを使用したいところですが、手が掛かりそうだったのでそのままのねじで...
この状態では高さ調整をする時に上からドライバーで回しながら下の蝶ねじを押さえておくか、逆にドライバで押さえながら蝶ねじを回すといった事が毎回必要になり、ベッドステッカーを貼る場合には四隅をカットするか穴を開ける必要があります。ちょっと恰好悪いですよね。

 それにこのような構造ではスプリングで押さえられているとは言え、ホットベッドが揺さぶられそうに感じます。(ホットベッドの皿穴が4mm用となっている)
そこで、ホットベッドの上から差し込んだ皿ねじを下からナットで強く固定します。
スプリングとその下に短めに切ったストローを差し込み、X軸のリニアスライドの付いたホットベッド固定金具の四隅の穴を通して蝶ねじで固定します。
これによりヒートベッドの揺れを抑えられ、高さ調整は下の蝶ねじのみでおこないます。
ベッドステッカーはそのまま貼っておくことができます。


  • 見た目の印象を変えるX軸Z軸サポート

見た目を大きく変えたのはこのパーツでしょう。

P1020435s.jpg
X軸Z軸サポート左 X軸モーターが取り付けられています。

P1020436s.jpg
X軸Z軸サポート右にはX軸のテンショナーが左側に取り付けられています。

機能のみならず、X軸のテンショナーも取り付けられています。


  • 電気系の改造

電気系で気になるのが、ホットベッドのヒーター用電源がコントロール基板を経由して供給されていることです。
以前、ヒーター用コネクタの異常に気が付き補修したのですが、コネクタの緩みからコネクタの+側のコンタクトが発熱し、ハウジングに僅かダメージが見られ、コンタクトには樹脂が付着。電線の被服も少し溶けかかった様子が確認されました。

IMG_3256.JPG
コネクタの右側の赤い線の根本が変質している事を確認できる

そこでコンタクトを交換して、ハウジングをタイラップで固定し、振動で上下にガタつかないように対策しました。
電流が大きいため、コントロール基板側でコネクタの緩みが生じた場合には大切な基板を燃やしてしまう危険性もあるのです。
そこで、大電流はコントロール基板を迂回するように改造しました。
そこで登場するのがこれです。

mosfet.jpg
ホットベッドパワーモジュール拡張パワーMOS ボード。。。のようなネーミング

名前は色々と付けられていますが、スイッチングレギュレータからこのボードを経由してホットベッドに供給するといったものです。
この基板を使ったからと言っても、ネジが緩んでいたらこの基板が燃えちゃいますから気を付けて!!

P1020609s.jpg

こんな感じに取り付けました。

 もう一つ気になっていたのがコントロール基板に乗っているモーターコントローラチップの放熱。
熱くなり過ぎると仕事サボっちゃいますから、しっかり冷やしてあげた方がいいですね。

IMG_3252.JPG


取り敢えずやっつけ仕事でしたが、ファンを取り付けました。


  • 残りの課題


現在目指しているのは

1.筐体のアルミフレーム化
2.筐体の密閉化
3.エクストルーダーの軽量化
4.オートレベリング
5.マルチフィラメント対応化

などを検討しています。

1.筐体のアルミフレーム化
 プリンタ全体の振動を抑えるための一環でもありますが、見た目の良さということもあります(^^;

3D Cube Image.png

現在の機構で2.の密閉化も考えると結構複雑な構造になる。


2.筐体の密閉化
 高めな温度環境が必要なABS樹脂での印刷など、密閉化で高めの温度環境を整えやすくします。

PLAでは殆ど気にならない加熱された樹脂の臭いもABSではちょっときつくなります。
脱臭フィルタなど臭い対策もできればと考えています。


3.エクストルーダーの軽量化
 エクストルーダーはダイレクトエクストルーダーというフィラメントフィーダーが一緒に乗っているタイプですがフィラメントフィーダーのモーター重量が気になります。
 エクストルーダー全体を軽量化できれば、モーターの振動や印刷時の慣性による振動を減らす事ができます。
そこでフィラメントフィーダーをユニットから外部に離すことで、モーターの振動や荷重も減らすことができ、印刷精度の向上に効果があるのではと考えています。(ボーデン・エクストルーダー)
これはこれで問題もあるのでしょうけど、マルチフィラメント化などに有利になります。

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posted by juno at 23:01| Comment(0) | 3Dプリンタ

2018年07月10日

サイレントギター修理 〜日本製パーツを中国経由で〜

オープンデッキのレストアもACインレットの取り付けで一段落したので、懸案であったサイレントギターの2件目の修理に手を付けました。

SLG100N.jpg

サイレントギターはヤマハのSLG-100Nと言うクラッシックギタータイプのモデルです。
残念な事に指を置く板が無いモデルですが、指弾きでもボサノバの演奏スタイルは問題ありません。

フォークギタータイプでスリーフィンガーとかで指弾きだとちょっと困ってしまいますが。

中古で購入していたものでしたが、1件目の問題は取り外し可能な左フレームがしっかり固定できないというものでした。これは3Dプリンタでスリーブを作成し対応しました。

IMG_2480.jpg 

3Dプリンタで作成したスリーブ。


P1020475.jpg
ボディ(左)と取り外したフレームの先端(右)

後でサービスマニュアルを確認してわかった事なのですが、製品にはスリーブが入っているはずなのですが、なぜこの製品に入っていなかったのかは謎です。

中国工場でのチョンボだったのかなぁ。


そして今回の問題はAC電源アダプタ(9〜12V)が使用できないということ。どうやら規格外のアダプタを使用してレギュレータを壊してしまったという予感がしました。
電池の使用では問題が無く動作していましたが、さすがに006Pでは消耗が早い事が気になっていたのでAC電源アダプタを接続して初めて問題に気付いた次第です。


IMG_3311.JPG


手書きでごめん。レギュレータ周りのコンデンサなどは省略しています。

そこで回路を追ってみるとマイナス側にスイッチが入っていて、成る程〜という回路になっていました。

電池では動作するが、AC電源アダプタが使用できないという現象で、この回路から想定すると8V用レギュレータが壊れているとしか考えられません。

レギュレータの入力にダイオード1個入れてあれば(矢印のところ)壊れる事は無いのでしょうけど、純正アダプタを使うと言うのが前提なのでしょうからね。

それに、9Vのアダプタではレギュレータの前に保護ダイオードを入れると、入出力の差が1Vしかありませんからダイオードの電圧降下で9V入力では使えなくなってしまうかも知れません。


ところがこの表面実装用のJRC製NJM78L08UAという+8Vのレギュレータ、Webでもヒットせず、秋葉原を歩いて探してみたのですが見つける事はできませんでした。

代わりの8Vレギュレータを探してみたのですが、足の順番(上図面参照)が逆でそのまま基板に取り付けられる代替品も見つかりません。

もしかしてDigi-Keyならあるんじゃないかなと検索を掛けたところ商品を確認できました。

Digi-Keyから入手できる事はわかったのですが、1個数十円の部品に送料が数千円!ヲイ!!

と言う事でAliexpress内を探してみると50個で送料込みで700円程度で入手可能。

お〜。これなら安い!秋葉原を往復してももっと掛かりますし、失敗しても(変な物を掴まされても)いいかと言う事でそちらに発注しました。

製造用にリール単位で購入して、余った分が市場に出ているのではないかといった気がしますね。


IMG_3309.JPG


待つ事2週間。リール入りの製品が入荷しました。

1個テストしてから取り付けようかとも思いましたが面倒なので交換開始。

サイレントギターの裏のカバーを外し、基板に配線されているコネクタ、つまみを外し、基板を固定しているネジを外して本体から基板を取り外します。

とてもメンテナンス製の良い作りです。


目指す交換ヶ所は基板の背面。

付いているものを半田こてで温めて取り外し、送られて来た部品と交換します。

交換前に電源アダプタを接続して電源を入れICの入力側(3)に電源が加わっているか確認。出力側(1)が出ていない事をテスターで確認して交換作業に入ります。


P1020628.jpg


レギュレータ交換後、ショートなどしていないことをルーペで確認して、元に戻します。

9Vのアダプタを取り付けて、電源スイッチを入れてみると無事電源LEDが点灯。

ヘッドホンで聞いてノイズの発生などもありません。

めでたしめでたし。(NJM78L08UAが49個残っているので販売するか (笑))


最近のイコライザーアンプ内蔵のエレアコなどは単3電池2本使いの仕様になっているようです。

調べて見たところ、単4電池2本だと容量が不足のようなので単3電池2本が無難と思っています。

という事でサイレントギターの次の課題は006P(9V)から単三電池2本仕様に改造予定なのですが、そちらに使用予定のDCDCコンが販売店で切らしており暫く入荷待ちの状況です。

入荷したら予備実験の後、問題が無ければサイレントギターに組み込む予定です。

posted by juno at 11:42| Comment(0) | エレクトロニクス全般

2018年07月09日

オープンデッキのレストア

1月から4月に掛けてSONYのオープンデッキTC-R6のレストアをやっていました。
SONY民生用最後のオープンデッキです。
今見ても良いデザインと感じます。
このクラスのオープンデッキは他社の物を見てもいいなぁって感じますが。

SONY TC-R6
写真は写りの良いTC-R7の写真を 見た目は殆ど同じです。

でも、驚くなかれ背面は手作り感満載のベニア合板のような板で作られています。
今でしたらパーティクルボードやMDFなどが使用されていることでしょう。
細い電源ケーブルが出し流し(直接本体から出ている)になっているというのも時代を感じさせます。
最近のこのクラスの製品になればACインレットが使用されて、ACケーブルの取り外しが可能になっていますからね。

トラブルの内容は再生時に不定期に大きさの変わるノイズとグリースの変質によるピンチローラーの固着です。
因みにピンチローラーとは走行するテープをヘッド部に密着させるため、定速で回転するキャプスタンにテープを押し付けるローラーですが、このローラーをソレノイドの力によって上下に動かす機構部分のグリースが固まってしまう事によって起きる現象です。
去年までは何とか動いていて、テープ音源をデジタルで取り込もうと動かして見たところ、再生時に片チャンネルにノイズが出ていたのと、再生時のリール・フォワード・テンションの不具合も確認していました。

P1020605.jpg
デジタル変換はRCAケーブルを標準プラグに変換して
デジタル・オーディオ・アダプタに接続

ノイズの原因を探しながら、アンプ部の電解コンデンサを交換。
(注意:電解コンデンサは生ものです^^;)
後で容量をチェックしてみましたが、容量抜けは全くありませんでした!!
恐るべし、Made in Japan
再生スイッチの切り替えとPBレベルによる状態からノイズの原因となっているブロックはPBイコライザーアンプ周辺と想定。

IMG_3147.JPG
基板の表面、けっこう汚れています。綿棒で汚れを取りながら作業。

リレーや切り替えスイッチの接点不良も無いようですし、電気的問題も見つけられなかったので、トランジスタのリードの付け根部分の隙間をカッターの歯先でゴシゴシ。
トランジスタのリードと足元の基板のランド間も同様に。あと金属ブラシで基板のハンダ面のパターンの無い部分をゴシゴシ。
これ「ウィスカ」という錫の単結晶が髭状に伸びてショートが起きる現象への対策。
結果、ノイズの原因はクリアできました。

ピンチローラーの固着はプランジャーで駆動するメカ部分を分解、グリースを取り除き、元通りに組み立てて新しい潤滑油を注し出来上がり。
と書いてしまえば簡単なのですが、パネルを取り外すためには最初にピンチローラーとつまみを外さないといけません。
ピンチローラーにはキャップが付いており、これを外すためにはカニ目レンチのような工具が必要なのです。

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自転車用カニ目レンチ

カニ目レンチ.jpg
カニ目レンチ(こちらはカメラ・レンズ用)

ただ、自転車用では間隔が広く、先端が太過ぎます。
使えそうな物が見つからず友人に代替になるものがないかと聞いたら、ケガキコンパスを貸してくれました。
多少傷が付く事は覚悟して、これでやっとパネルの取り外しまで辿り着く事ができました。

無事、指で軽くピンチローラーが上下に動くようになったので、右サイドパネルを外しテープを回しながら(トルクメーターなんて持っていませんからね〜)フォワード・トルクの調整(パネル右側RV703)をしてテープが弛んでしまう問題を解決しました。
因みにRV703の上側にはテープスピード調整用のRV901、902があり、バックテンションは左側RV702です。

P1020603.jpg

動くメカっていいですね〜。オレンジ色に照明されたVUメーターの動きも見ていて楽しいものです。
修理もそれなりに面倒ですが、メンテナンス。サービスマニュアルが無かったので情報収集が大変でした。

ACケーブルもだいぶくたびれていたようなのでバッサリ切り、ACインレットを取り付け、ACケーブルを取り外しできるようにしました。

P1020619.JPG
ACインレットの取り付け(リアパネル側の穴あけが綺麗でなかたので、裏から差し込み)

マニアに言わせれば接触不良の原因になるとおっしゃっておりますが、まぁマニアでもないので。。。

回路を見て感じたのですが、制御回路はマイクロコントローラ化すれば、かなり簡素にできそう、という印象です。

posted by juno at 21:58| Comment(0) | エレクトロニクス全般